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NHK BS放送・吉田喜重監督9作品放映について 昨年、劇映画としては14年ぶりに制作された吉田喜重監督の『鏡の女たち』は、その瑞々しくスリリングな映像展開と、記憶のなかの原爆を主題にした先鋭な問題意識において、この60年代作家の衰えを知らぬ映画魂とでもいうべきものを、改めて観客の前に提示しました。それを受けて、雑誌「ユリイカ」が昨年4月号で特集を組み、今年、夏には四方田犬彦編による『吉田喜重の全体像』という浩瀚な書物も作品社から出版され、9月には、ポレポレ東中野において、松竹時代を初めとする劇映画全作品と、現在上映可能なドキュメンタリー作品のレトロスペクティヴが行われ、同時代に吉田喜重を見ていない若い観客を中心に多くの人びとの注目を集めました。こうして、吉田喜重ルネッサンスの機運が静かに、しかし着実に始まっています。そして、それを証すかのように、この11月22日から、NHKの衛星放送で、吉田監督作品の9本が放映されます。主に深夜の放送なので、放映時間に見られない人もいるかとは思いますが、そういう方は録画などして、この機会にぜひ、いまもなお古びることなく先鋭な吉田映画を発見して頂きたいと思います。なお、本編上映後に、吉田監督と岡田茉莉子さん(出演作の場合)の作品に関する興味深いトークがありますが、そのお話の引き出し役は、不肖上野昂志がつとめております。
上野昂志記

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